安全管理という言葉は、学童だけに限らず様々なところで目にします。

保育園、幼稚園、小学校‥数えたらきりがないほどに、施設があればそこには安全管理がつきものだということです。

今回は学童における安全管理について、私の事業所の事例を用いてお話していきたいと思います。

先日、職員ミーティングでこのような発言がありました。

「職員が2人以上配置されている意味をご存じですか?」

学童歴も3年以上の職員からこのような質問が上げられました。

さらに詳しく言うと

・放課後支援員2名(内、1名は補助員でも可)を配置する理由は何か

・それを守るメリットは何か

という、趣旨で話をされておりました。

メリットに関しては、そもそも守らなければならない最低の基準であるという点でメリットもデメリットでもないとは思いますが、その辺りは今回不問としました。

その職員の主張としては、「外遊びの際、遊びを見守る人とは別で安全管理上1人を公道に近い位置に配置するべき」

それは、私の中では警備員、またはプールとかビーチにいる監視員のイメージですが、案の定そのイメージで差支え内容です。

私としても理想的な話ではありますが、多くの支援員さん並びに運営の方に怒られるかもしれないという覚悟の下で申し上げます。

「職員を安全管理の為だけに配置することはできない(そんな余裕はない)」

私からすれば、外に2人配置するにしても、

・1人は子供と直接関わる(遊びを主導する)、1人は見守りと安全確認

・見守り2名の場合は、エリアを分けて子供を見ながら安全確認

と、必ず子供+その他役割を与えます。

それは何度も言いますが、、、

「そんな財政的ゆとりは学童にはありません!」

その提案であれば単に警備員を雇えば外的安全は守れるし、支援員は子供だけに目を向けていられる最高の環境だと思います。わざわざ支援員の中から、外を警戒する人間を置かなくていいじゃないですか。専門性も抜群で安全管理も完璧!問題解決

・・・とはならないのが当たり前ですけど現実。

警備員にしても職員にしても、+1名分の人件費がかかりますよね。1施設で大体常勤が2名程度で後は非正規雇用で固めるのは、純粋に収支上仕方ないからです。

年収300万の支援員3人雇ったらほぼ積みますよ、補助金。悲しいけどこれが現実です。

「補助金少ない!」「もっと増やすべき!」という話は現場がどんなに言ったって仕方がないんですよ。まずは、ある分で今日明日の保育をしていかなきゃいけないんです。その中で保護者や地域の方々、学校などに学童の良さや専門性を理解してもらってみんなで訴えていかないと解決できない問題なので。

話を戻して、学童保育の補助金はほとんどが人件費と施設維持費ではありますが、40人を基本2名で見るよう考えられたような補助金です。最近でこそ、障害児受入推進事業や障害児受入強化事業等の追加で人件費分の補助額を増額していただいてはいますが、あくまで配慮が必要な子のサポートを担う職員の為の費用であって、安全管理自体は支援員の仕事となります。(当たり前と言えば当たり前)

それこそ私の所属する法人の場合、学童部門の補助金は方デイ部門の月200万前後の国保連収入を考えるとその半分程度で学童は切り盛りします。

これに関しては、療育という専門性もありますので一概に比較はできません。ただ、お互い同じ福祉分野であり、法外な補助金をもらってる、利益を追求している等の事はありません。

与えられた範囲で、いかにより良い支援につなげるかを常に考えていることはお互い同じです。

話が脱線してしまいましたが、上記の職員の安全意識は大切なことですが、現実的ではないということです。それも踏まえて、学童の安全管理について少し考えを話していきたいと思います。

職員2名以上配置することの最大の要因は、トラブル等へ対処するためのリスク分散

例えば、職員が1人しかいない状況で子供がケガをしました。職員は手当をしないといけません。でも、他にも多くの子供たちが活動しています。その子たちへ手が回らなくなってしまう。これはまだ可愛いレベルの事例です。

最悪の事例だと、不審者・災害等の時の対応です。

不審者が来ました。火事が起きました。一人で避難誘導をしながら、子ども達の安全確認を行いつつ、取り残さないように見回りをして、かつ警察・消防等へ通報するなんて芸当は到底一人の人間が不測の事態の渦中でできる量ではありません。また、場合によっては職員が負傷するかもしれません。そうなってしまえば、子ども達の指揮系統は完全に崩壊してしまいます。一人の人しか配置しないという事は、起こりうるリスクを分散できないという最大の欠点があるのです

2人以上いるという事は最悪1人が行動不能になっても子ども達を守る存在を残せます。また、何かあった時の備えは、子ども達だけでなく大人側も同じです。いかにリスクを最小限にして、子ども達の安全を守るかが重要なのです。

私は、個人の力量・スキルを磨くことも大切ですが、何より有事の際のマニュアルを整備する、日々職員同士連携を密にして、連帯して子ども達の安全を確保するような環境を整えておく事が最も大切だと思うのです。

個人のスキルでは限界があります。なぜなら、その人が出勤していなかったり、退職してしまってはその安全管理方法は実践できないからです。だからこそ、誰でも行えるように汎用化したマニュアルと役割分担、迅速な連携等の仕組みや環境を整えることをやってほしいです。

その中でうちの学童のケースで言うと、安全管理が非常にしづらい環境であることは否めません。

・出入口が一か所しかない。

・外に繋がる通路も一か所であり、かつ施設入り口からの見通しも悪い

なぜ、そのような物件で学童をしているのか。シンプルにそこしか空いていないからです。沖縄県では、学童不足な地域がまだいくつかありますが、基本的に民設民営が基本となっております。その為、民家を借用して学童を行う施設が非常に多いのが特徴です。学校の中に学童施設を作る動きもありますが、需要分には到底及ばないのが現状です。

ちなみに自分たちは老人ホームの2階部分を活用させていただいています。コロナがなければ、交流活動もあって、幼老複合施設として時代の流れを作っていたかもしれません。

話はそれましたが、少なくとも沖縄県の学童施設は、設備的に不十分なところも多いということです。だからこそ、上記のような安全管理を徹底する必要があるのです。

☆マニュアル作成や連携等の安全管理をしてくための仕組みを整える☆

 私の学童では、業務マニュアルを整備し、職員の業務や子供の関わりの指針にしています。その中で、非常時の場合も記載しています。ただし、定期的に見直しすることでその質を保つことがまだできていないのも現状です。作って終わりではなく、避難訓練等の機会を通して、より良い状態にアップデートしていく取り組みは必要です。

 また、日々のミーティングや会議において、その日の役割を決めることも大切かと思います。

例えば、

室外遊び担当→避難誘導、不審者への声掛け

室内遊び担当→児童が残っていないかの最終確認、通報

その日の役割と有事の際の役割を予め結び付けておくと対応しやすいですよ。これも、人で決めておくと、場所によっては対応しづらい状況が想定されることを見越して、保育環境と災害時の役割を組み合合わせています。

☆さいごに☆

ゆとりある運営が理想的であり、支援員は一人でも多い方がきめ細かな支援に繋がりやすいのも事実です。ただ、理想と現実が非常にも同じではないんですよね。だからこそ、各施設で工夫していかに安全を守るかを一人一人が考えていくことが必要です。

私もまだまだ未熟ではありますが、この記事を通してご指摘や助言ももらいながら邁進していきたいと思います。それでは今回はこれにて。

Previous post 学童へ漫画を置きたいあなたへ
Next post 永久に遊べるパズルが熱い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です