「こども関係の仕事」といえば、教員や保育士が思い浮かぶところではないでしょうか。それが時代の変化と共に、子どもに関わる仕事は多様化して、昔はあまり注目されていなかった「学童の先生」もひとつの職業として社会に認められつつあるように思います。

最近でこそ、「処遇改善が・・・」や「社会的に必要な・・・」等学童の先生(以下、「支援員等」)も注目されていますが、それまでは何とも大変な職業だったと思います。

それでも、いまだに待遇はヤバい・・・

50万円未満 171 (03.44%)
50万円以上~100万円未満 809 (16.27%)
100万円以上~150万円未満 1,428 (28.72%)
150万円以上~200万円未満 712 (14.32%)
200万円以上~250万円未満 731 (14.70%)
250万円以上~300万円未満 391 (07.86%)
300万円以上~350万円未満 206 (04.14%)
350万円以上~400万円未満 79 (01.59%)
400万円以上 148 (02.98%)
無回答・回答無効 297 (05.97%)

2020年度の学童実態調査の報道資料にあった支援員の年収に関するデータでは、100万~150万程度の人が一番多く、年収200万未満が6割を占めるほどですので、今だに待遇は厳しいものがあります。

その背景には、雇用形態や保育に必要な時間が短い事も要因の一つでしょうね。参考までに指導員の年間労働時間を調べてみました。

~1000時間 899 (18.08%) 43.0%
1001~1500時間 1,896 (38.13%) 30.8%
1501~2000時間 1,379 (27.74%) 20.3%
2001時間以上 455 (09.15%) 5.9%
無回答・回答無効 343 (06.90%)

フルタイムの方が

1日8時間)×(月20日)×(12か月)=1920時間/年

ですので、それにみたいな方が約7割もいるのです。

また確かに、子どもの放課後に保育を行う為、実質の保育時間は15時下校で19時まで開所していたとしても一日に3~4時間程度、土曜日や長期休みは11時間前後開所しているものの、保育士や教員の方と比べると、子どもの面倒を見る時間は短いかもしれませんね。

低賃金で長続きしづらい就労環境

2年未満 972 19.55%( 31.6%)
2年以上3年未満 616 12.39% (13.2%)
3年以上5年未満 843 16.95% (18.9%)
5年以上10年未満 1,177 23.67%(22.7%)
10年以上20年未満 1,000 20.11% (13.6%)
20年以上 214 04.30%(調査なし)
無回答・回答無効 150 03.02%

※()内は2012年時のもの、

2018年調査でで3年未満の指導員が約4割以上となっています。データは古いですが小学校教員の平均勤続年数が2004年時は公立で約20年、私立でも14年ですから、大きな違いですね。

社会的身分や賃金の安定した教員は継続しやすい一面もあるかもしれません。ちなみに保育園では2019年度の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」にて、全国の保育士さんの勤続年数は、計で7.8年ですから、賃金の低さが問題視されているところから見るに、保育士さんの勤続年数は待遇の安定した公務員が多くを占める教員には及ばないものの、学童の先生はそれ以上に続けにくい環境だと思われます。

では、その賃金に見合う仕事なのかというと、

学童の先生の業務についての調査にて

学校との情報共有 3,198 (64.32%)
保護者への連絡・情報共有 4,159 (83.65%)
防災・防犯対策 3,765 (75.72%)
要望・苦情への対応 3,129 (62.93%)
児童虐待早期発見への取り組み 3,564 (71.68%)
地域組織との情報交換や相互交流 2,113 (42.50%)
児童館やその他公共施設等の積極的活用 1,909 (38.40%)
地域住民との連携、協力 1,989 (40.00%)
地域の保健医療機関等との連携 1,203 (24.20%)
虐待ケースの具体的な支援内容等を関係機関と検討・協議 1,445 (29.06%)
放課後子供教室との打ち合わせ、協議会への参加 892 (17.94%)

私事で申しますに、通常の保育も行いますが、保護者や関係諸機関との連絡なども多く、思ったよりやることは多いですね。さらに、行事の準備やおやつの準備、市役所等へ提出書類の作成、お便り作成等の業務もありますので、意外と忙しいですよ。

私は学生時代、社会人一年目で学童に努めていましたが

<学生時代>時給890円(最低賃金790円)、3年目
<パート時代>月給12万7千(各種手当込み)、平日6時間×5日+隔週土曜日出勤
       賞与1か月分

教員免許、放課後児童支援員資格を持っていた私ですが、希望の部署で働かせてもらったので特に文句はありませんでした。それでも、一般的に見たら厳しい条件なのかもしれませんね。

待遇や安定を求めるなら、教員が最強

正直、ある程度の収入を目指すなら、学童の先生は難しいのではないでしょうか。特に「家庭を持ちたい」と思う方にとっては猶更。支援員は魅力あるお仕事ですが、好待遇は期待しない方がよさそうです。

それでも私は・・・

私は現在自分で学童を運営していますが、年収180万程度です。手取りなら職員の方が多い事もあります。それでも、続けていきたいと思っています。それは、学童という居場所に強い魅力を感じてしまったからでしょう。教育と保育の中間にあり、子どもだけでなく保護者の人や学校の先生と協力して子どもの支援ができる学童ではいろんな交流や体験ができて魅力が溢れていますから。

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